債務整理を行うと、現在持っているクレジットカードが使えなくなってしまうのではないかと、不安に思うのではないでしょうか?

キャッシュレス社会に移行しつつある今、クレジットカードが使えないと不便な生活を強いられるのではないかと、心配になる人は多いでしょう。

ここでは、債務整理してもクレジットカードは残せるのか、債務整理後もカードの更新はできるのか、といった疑問にお答えします。

債務整理後もクレジットカードを使える?

債務整理後もクレジットカードを使えるかどうかは、政務整理手続きの種類によって異なります。

任意整理

任意整理では、残したいクレジットカードを任意整理の対象外にすると、債務整理をした後も使い続けることができます。

任意整理は、裁判所の関与なしで手続きを行うため、全ての債務を整理対象にする必要はなく、どの債務を残すかは自分で自由に決められます。

クレジットカードを整理対象にした場合は強制解約となり、債務の確認のため弁護士・司法書士にカードを預けなければなりません。

カード会社によっては、解約したカードを返却するよう求められることがあります。

汐留パートナーズ法律事務所

汐留パートナーズ法律事務所

クレジットカードを残すときの注意点

任意整理でクレジットカードを残そうとするときは、以下の点に注意してください。

残債の多いクレジットカードは残すべきではない

クレジットカードの残債が何十万、何百万と残っており、今後の返済が困難であるようなら、そのカードは残さずに任意整理の対象とすべきです。

カードの残債が少額で、今後3~5年以内に返済できる見通しが立つのであれば、任意整理の対象から外しても問題はないでしょう。

ショッピング枠だけを残すことは不可能

同一のクレジットカードのショッピング枠だけを任意整理の対象外にすることはできません。必ずキャッシング枠と一緒に解約しなければなりません。

ですが、キャッシング枠の任意整理を行って過払い金(払い過ぎた金利)があったクレジットカードの場合、この過払い金とショッピング枠の残債とを相殺できるというメリットがあります。

※ショッピング枠の金利については、利息制限法の範囲内であるため過払い金は発生しません。

弁護士の反対に遭う可能性がある

借金癖がある人の場合、残したクレジットカードで新たな借金を膨らませる恐れがあるため、弁護士にカードを残すことを反対される可能性があります。

すでに多額の借金を抱えている人は、返済を優先してカードなしの生活を送ることで、借金癖を克服する良い機会になると捉えてみてはいかがでしょうか。

個人再生

個人再生では、「債権者平等の原則(全ての債権者に対して平等に返済しなければならない原則)」が適用されるため、任意整理のようにクレジットカードだけを残すことはできません。

個人再生手続きを開始すると、信用情報機関のブラックリストに登録されるので、クレジットカードのキャッシング枠・ショッピング枠の両方とも使えなくなります。

整理対象のクレジットカードは、債務の状況を調査するため、弁護士・司法書士に預けなければなりません。

未使用のクレジットカードは手元に残せますが、ブラックリストに登録されている期間中は、カードの利用が制限されます。

自己破産

自己破産も個人再生と同様に「債権者平等の原則」が適用されるため、クレジットカードだけを整理対象から外すことはできません。

例外として以下のケースでは、自己破産後もクレジットカードを残すことができます。

自己破産を行う時点でクレジットカードを一度も使っていない

自己破産の開始が決定された時点で、クレジットカードのショッピング枠・キャッシング枠を一度も使っていなければ、債務から除外することができます。

しかし、担当の弁護士によっては万が一のことを想定して、未使用のクレジットカードも債務として申告するよう勧めてくる場合があります。

申告したクレジットカードは強制解約になってしまうため、今後はカードを使うのであれば、債務の対象から外したい旨を弁護士に伝えて相談しましょう。

自己破産の前に返済が終わっている

自己破産の開始から相当前にクレジットカードの返済が終わっており、現在は借入れなしの状態であれば、債務から除外することができます。

特定のクレジットカードを債務から除外する際は、そのカードの発行会社で別の借入れをしていない状態が望まれます。

例えば、同じ会社が発行するVISAカードとJCBカードを1枚ずつ持っている場合、返済済みのVISAカードを債務から外したいのであれば、JCBカードでは借入れしていない状態が理想的です。

もしJCBカードに借入れが残っている状態だと、VISAカードと一緒にまとめて債務整理しなければならない可能性が高くなります。

また、クレジットカードの返済を終えた時期にも注意しましょう。

自己破産の直前に返済を終えた場合は、一部の債権者を優先して返済したとみなされ、問題になる可能性があります。

それを避けるため、すぐに債務整理が必要な状況であるにも関わらず、返済終了日と自己破産開始日との間隔を空けるため、自己破産手続きの開始を先延ばしにする人もいます。

しかし、そのことが裁判所にバレると悪質な行為としてみなされ、自己破産が認められなくなります。

債務整理をするとクレジットカードは更新できる?

債務整理の対象から外したクレジットカードは、債務整理後もしばらくの間は残すことができます。

しかし、いずれは全てのクレジットカードが更新のタイミングで使えなくなってしまうので注意してください。

カード会社は更新日が来る度に、利用者の信用情報(借入れ内容や返済状況などの情報)をチェックし、更新しても問題ないかどうか審査を行っています。

過去に金融事故(返済滞納やカードの強制解約など)を起こして信用情報が悪化している人に対し融資を続けることは、カード会社にとってリスクになるからです。

債務整理も金融事故の一種であり、事故情報がブラックリストに登録されている期間中(5年~10年間)は、クレジットカードの更新ができなくなります。

債務整理後もカードを使う裏ワザ

債務整理後は原則としてクレジットカードが使えなくなりますが、銀行が発行する「デビットカード」については新規発行・利用が可能です。

デビットカードはクレジットカードのような使い方ができますが、代金の立て替えやキャッシングは利用できません。

デビットカードで決済した代金はすぐに銀行口座から引き落とされるので、口座残高以上の決済はできないようになっています。

その点では、クレジットカードよりもプリペイドカードに似ていると言って良いでしょう。

デビットカードを申込む際は信用情報のチェックが必要ないので、銀行口座を持っている人なら誰でも発行してもらえます。

デビットカードが使えるお店は、VISAやMasterCardなど国際ブランドのクレジットカード加盟店です。

ただし、デビットカードによっては提携している国際ブランドが異ることがあるため、使えないお店もあるので気をつけてください。

例えば、日本発国際ブランドのJCBと提携しているデビットカードの場合、国内では約3,000万店で利用できますが、VISAとMasterCardが主流の海外では利用できないお店が多いです。

また、クレジットカードは分割払いが可能ですが、デビットカードは一括払いしかできないので注意しましょう。

家電製品やブランド品のような高額な買い物をしたくても、銀行口座の残高が不足していると、デビットカードによる決済はできません。

クレジットカードが再び使えるようになるのはいつから?

債務整理を行うと、ブラックリストから事故情報が削除されるまでの期間中は、クレジットカードの新規申し込みと更新ができません。

クレジットカードが再び使えるようになるまでの期間の目安は5年~10年ですが、正確なところはクレジットカードの発行元によって若干異なります。

【消費者金融系や信販系のクレジットカード】

消費者金融系や信販系をはじめ、ほとんどのクレジットカード会社に関する信用情報は、CIC(指定日本信用情報機構)とJICC(株式会社日本信用情報機構)によって管理されています。

CICとJICCのブラックリストに登録された事故情報は、債務整理から最長で5年経過すると削除されます。

【銀行系のクレジットカード】

銀行系クレジットカード(三井住友VISAカードやMUFGカードなど)に関する信用情報は、KSC(全国銀行個人信用情報センター)によって管理されています。

KICのブラックリストはCICよりも事故情報の保存期間が長く、債務整理から最長で10年経過すると削除されます。

ブラックリストにはいつから登録される?

ブラックリストに登録されるタイミングは、手続き別に以下のようになっています。

任意整理
債権者と和解し、任意整理を開始したとき
個人再生
裁判所が個人再生計画を認可したとき
自己破産
裁判所が免責(借金の免除)を許可したとき

上記のタイミングから数えて5年~10年経てば、ブラックリストから事故情報が削除され、クレジットカードが再び使えるようになります。

ブラックリストの登録期間は、債務整理後の返済開始日や返済終了日から起算すると誤解している人もいますが、これは間違った情報なので注意してください。

債務整理後の口座引き落としに注意!

債務整理が開始されると借金の取り立てはすぐに中止されますが、クレジットカードの返済方法を口座引き落としに設定している人は、注意が必要です。

口座引き落としの中止には数週間~数ヶ月を要する場合があり、その間に引き落としが続いてしまう恐れがあるからです。

口座引き落とし中止が間に合わなかったら?

口座引き落としの中止が間に合わなければ、裁判所に申告を行い、債権者から引き落とされた金額を返金してもらう必要があるので、余分な手間がかかってしまいます。

手続き開始後も口座引き落としが続くと、個人再生と自己破産に関しては、「偏頗弁済(へんぱべんさい-一部の債権者だけに返済を行うこと)」として扱われる可能性があります。

偏頗弁済を行うと「債権者平等の原則」に違反するため、以下のペナルティが課されます。

【個人再生の場合】

偏頗弁済で一部の債権者(この場合はクレジットカード会社)に支払ったお金は、本来は他の債権者にも平等に配分されるべき資産とみなされます。

従って、個人再生後の最低返済額に偏頗弁済の合計額が上乗せされ、返済の負担が大きくなってしまいます。

債権者との行き違いで口座引き落としが中止されなかった場合は、故意に偏頗弁済を行ったわけではないので、裁判所に事情を説明すればペナルティは課されません。

【自己破産の場合】

自己破産では、偏頗弁済は免責不許可事由(借金の免除が認められない事由)に該当します。
この場合も、引き落とし中止が間に合わなかったことを裁判所に理解してもらえれば、免責不許可事由にはなりません。

口座引き落としを防ぐ方法

債務整理後の口座引き落としが故意によるものでなければペナルティは課されませんが、裁判所への説明や返金手続きで余計な時間を取られてしまいます。

対策として、引き落とし日が来る前に口座から預金全額を引き出し、現金として保管するか口座引き落としをしていない他の口座に移しておきましょう。

銀行口座が空の状態であれば、引き落とし対策になるだけでなく、クレジットカード会社からの口座差し押さえを回避することもできます。

給与の入金口座と引き落とし口座が同一の場合は、給与の入金と引き落としが重なってしまう恐れがあるので、入金先を別の口座に変更することも忘れないでください。

また、引き落とし口座が税金や公共料金の振替口座と同一の場合は、口座を空にすると振替ができなくなってしまうため、振替口座の変更も忘れず行いましょう。

クレジットカード現金化をすると債務整理、任意整理ができないのか?弁護士に個人再生の依頼は可能?

クレジットカードの支払いやその他借金の返済に行き詰まった場合、諸々を仕切り直す方法の一つとして「債務整理」があります。
借金の利息をカットして元本の返済に専念したり、あまりに多額の場合には返済そのものを免除(免責)して貰うなど、これ以上の借金返済が難しくなった時には再スタートための選択肢として有効な方法です。

しかしクレジットカードの現金化を行った場合、債務整理ができなくなってしまうことがあります。
確かに債務整理そのものは誰でも行うことができるのですが、一部の整理手段においては現金化が足かせとなってしまい、裁判所で許可を得られないことがあるからです。
今回はクレジットカード現金化を行うと一部の債務整理ができなくなってしまう理由と、たとえ現金化をした場合でも選択できる債務整理の方法について、それぞれ解説いたします。

原則自己破産ができなくても 例外的に認められる場合もある

免責許可が下りるポイントは 「悪質性の有無」と「本人の反省」

免責許可が下りるポイントは 「悪質性の有無」と「本人の反省」

しかし、現金化を行っていたからといって100%免責許可が下りないわけではありません。
確かに原則として免責許可を下ろすことはできませんが、裁判所で悪質な取引がなかったことを確認し、本人も深く反省していることを確認すると、例外として免責を認めて貰うことができます。もちろん判断は裁判官に委ねられているため、反省していれば100%免責してもらえるとは限りません。
しかし最初の自己破産で現金化を行ってしまったことを自ら申告し、深く反省した上でもう二度と同じような多重債務状態に陥らないことを制約できれば、免責許可が下りる可能性は十分にあります。

裁判官への働きかけには 弁護士の協力が不可欠

また、免責許可を裁判官に求めるにあたっては、担当弁護士との協力が不可欠です。
従って、破産申請を行う前の法律相談の段階から現金化を行ったことを正直に申告し、その上で自己破産手続きを行いたい旨を忘れず伝えることが必要となります。

例外的な判断を裁判官に認めてもらうためには、弁護士からの熱心な働きかけが欠かせません。
そしてそのためには、担当弁護士との強固な信頼関係が必須となります。
法律相談の段階で免責が下りないかもしれない取引を行っていたことを伝えるのは有機がいるかもしれませんが、確実に免責を勝ち取るためにも、ここは正直に申告することが最も大切です。

現金化をした場合におすすめの債務整理

もし自己破産ができなくても まだ方法はある

高頻度かつ多額の現金化を行っていた場合には、裁判官による裁量判断でも免責が不許可となってしまう場合があります。
その際にはどうすれば良いのでしょうか?
ご安心ください、自己破産は無理でも、他の方法であればまだ債務整理を行う方法は残されています。

任意整理 裁判所を介さないため 現金化を行っていても対応可能

任意整理 裁判所を介さないため 現金化を行っていても対応可能

まず最もポピュラーな方法として挙げられるのが、任意整理です。
任意整理は裁判所を介さず、債務者の代理人である弁護士と債権者であるカード会社や貸金業者と個別に交渉を行っていきます。
そのため、現金化を行っていても債務整理ができないといったことはありません。
もちろんカード会社が交渉を拒否した場合には、任意整理も行えなくなってしまいます。
しかし現金化を理由に任意整理を拒否されるケースはほとんどなく、最終的にはカード会社側も任意整理に応じてくれることが大半です。

なお、債権者との交渉を行う上で現金化を行っていた事実を考慮する必要があるため、任意整理の場合でも担当弁護士には現金化を行った旨を忘れず申告するようにしましょう。

個人再生(個人版民事再生) 元本カットもできるため 最も自己破産に近い債務整理が可能に

個人再生(個人版民事再生) 元本カットもできるため 最も自己破産に近い債務整理が可能に

任意整理は現金化を行っていた場合でも対応してもらえることが大半ですが、あまりに多額の債務を抱えている場合、利息をカットしても毎月の返済負担が非常に重たいものとなってしまうデメリットがあります。
既に多額の債務がある場合には、自己破産に近い方法である個人再生が効果的です。

個人再生は自己破産と同じく、元本を減らすことができる債務整理の方法です。
自己破産のように全額を帳消しにすることはできませんが、債務者の収支状況を元に確実な返済ができる返済計画を新たに立てるため、毎月の負担を小さく抑えた返済ができるようになります。また個人再生は自己破産と同様に裁判所を経由して手続きが行われますが、免責不許可となることがありません。
従って、現金化を行っていた場合でも債務整理を行うことができるのです。
任意整理で借金総額を引き直しても返しきれない程の債務が残る場合には、この個人再生が最も有効な債務整理の選択肢に挙げられます。

返済と支払いに困ったら まずは一度弁護士に相談しましょう

クレジットカードの現金化を行った場合に、債務整理ができるか否かについてご紹介致しました。最も強力な整理方法である自己破産を原則として選べない一方、それでもなお債務整理ができる可能性はまだ十分にあることがお分かり頂けたかと思います。

100%できるという保証こそありませんが、仮に現金化を行っていたとしても破産の免責許可を得られる可能性は十分にあります。
またその他にも効果的な債務整理の方法が2つ残されているため、万一返済に窮した場合でも、決して諦めてはいけません。

とはいえ、どの整理方法が自分にとって最適なのかは迷ってしまうことが想像できます。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、誰にとっても最適な方法は残念ながら存在しません。
そのため、毎月の返済や支払いに行き詰ってしまった場合には、まず弁護士に相談することをおすすめ致します。
その時にクレジットカードの現金化を行っていることも併せて申告すれば、あなたにとって最適な債務整理の方法を選ぶ手助けをして貰うことができます。
重い悩みを一人で抱えてしまう前に、勇気を持って相談することが、早期解決への近道です。